【マンション管理費 滞納2】滞納者が破産手続開始決定を受けた場合

破産とは

「破産」とは、債務者が経済的に破綻し、その弁済能力ではすべての債権者に対して債務を完済することができない状況に陥った状態をいいます。

 

このような場合に、債務者の差押可能な全財産(これを「破産財団」といいます。)を管理し、現金に換えてすべての債権者に公平な配当をするために設けられた裁判上の手続きが破産法上の「破産」にあたります。

 

破産の特徴としては、

債権者は破産手続き開始決定前のように債務者に対して個別的に支払の請求をしたり、受領したりすることはできません。

債権を裁判所に届け出て、破産管財人が配当してくれるのを待つだけになります。

破産手続き開始決定までに発生した滞納管理費等の支払請求権は、破産手続きにより処理されます。

このため、管理組合は裁判所に対して、破産手続き開始決定までに生じた滞納管理費等の支払請求権については、破産債権の届け出を行わなければなりません。

破産手続き開始決定後に発生した管理費等は破産手続きによらないで直接かつ個別的に弁済を受けることができます。

したがって、管理組合は破産手続き開始決定後に発生する管理費等については、その支払時期が到来するごとに普通の方法で破産管財人に請求することになります。

 

ただし、前述の「破産財団」がその財産が少ないために、破産手続きに要する費用も賄えないことが最初から判明している場合には、裁判所は破産手続き開始決定と同時に「破産廃止」を決定します。これを「同時破産廃止」といいます。

 

その場合には、破産手続きは行われません。

なので、破産手続き前と同様となります。

 

破産手続き開始決定が一旦なされた後で、破産財団がその財産が少なくて破産手続きに要する費用も十分でないことが分かった場合も同様です。

 

また、「免責」ということもあります。「免責」とは、破産者の申立てにより、裁判所が免責の決定をすれば、破産手続きによる配当や、破産者の悪意の不法行為に基づく損害賠償債務などを除いて、破産者はそのすべての債権者に対する債務の責任を免れることができるという制度です。

 

その場合には、管理組合は破産者に対して破産手続き開始決定前までに発生した管理費等の滞納分については、法的措置はとれないことになります。

 

なお、当該マンションが売却された場合は、特定承継人(買主)に対して、破産手続き開始決定前の滞納管理費等を含めて請求することができます。これは前述のとおりです。

 

まあ、破産等の手続きも、地元の司法書士さんにお願いするのが便利であると思われます。

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