【マンション管理費 滞納2】強制執行について(債権)
給料は債権!
強制執行は、債務者の有する財産を強制的に換価し債務の弁済に充ててしまうものです。
債務所の財産というと、土地、建物や家財、商品などの不動産や動産を思い浮かべますが、これ以外にも重要な財産があります。それが債権です。
債務者が会社に勤めていれば、毎月給料をもらっているでしょう。債務者が商売をやっていれば、顧客に対する売掛代金を持っているかもしれません。これらも債権です。
債務者の銀行預金。これも債権です。
債権差押は、売却して金銭に変えるという手続きがないだけ不動産や動産に対する強制執行よりも容易に債権回収が可能になります。
現実は厳しい!
しかし、言うのは簡単ですが、なかなか現実は難しいです。
銀行預金を差し押さえるとしても、管理組合が認知しえる預金口座は、管理費等の引き落とし口座だけです。そして、そこにはお金は入っていないわけです。(お金が入っていればそもそも滞納にはならない。)それで、債務者(区分所有者)にあなたの預金が入っている口座を教えてくださいと尋ねて教えてくれるわけはありません。
銀行への預金の照会も、裁判の判決があるからという理由では、なかなか教えてもらえません。当たり前ですが、守秘義務が銀行にはありますので、勝手に他人にこんな口座がありますなどと情報を出すことはできないのです。
なので、管理組合として、できそうなのは、滞納者の勤務している会社に対して、給料の差押を請求することだと思われます。
ただし、給料は、債務者の基本的な生活にかかわる部分であるので、全面的に差し押さえることはできないのであります。
給料に対する差押は、各支払い機に受けるべき額の4分の3に相当する部分は差し押さえることはできません。残りの4分の1について差し押さえることができるのであります。
ただし、政令で定める必要生計費の金額を計算するのは、大変です。
給与所得者等再生において、最低弁済額を算出するためには、最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額を計算しなければなりません。
その額は、政令で定められることになっていましたが、改正民事再生法の施行と同時に、その政令が公布されました。
また、政令によれば、1年分の費用の額は、次の[1]~[5]の額の合計額であるとされています。
[1] 個人別生活費の額
[2] 世帯別生活費の額
[3] 冬季特別生活費の額
[4] 住居費の額
[5] 勤労必要経費の額
そして、[1]~[5]の額については、居住地、年齢、被扶養者の数、収入額などによって、非常に細かく規定されており、この欄ではとても書ききれません。
ということで、詳しくは、専門家に相談されることをお勧めします。まあ、言えることは、会社員の場合、一応給料を差し押さえることはできそうなので、どこに勤めているのかを事前に調べることは大変重要になるということであります。なので、人間関係が構築されている間に聞き出しておくことは大変重要なヒントになると思われます。頑張ってください。