【マンション管理費 滞納2】訴訟費用の考え方

違約金としての弁護士費用

毎度毎度で申し訳ないですが、国交省が定めるマンション標準管理規約だと、第60条(管理費等の徴収)2項「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴求の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。」とあります。

 

また、「違約金としての弁護士費用」とされているのは、「金銭の債務不履行に基づく損害賠償として弁護士費用等は、相手方に請求できない」とする最高裁判所の判決があることから、管理組合が組合員の義務である管理費等の支払いを滞納している組合員に対して起こした訴訟において、相手方に弁護士費用等を確実に請求できるようにするために書かれている条文であると思われます。この条文を組合員は承諾しているのだから、支払うのは当然であるとするために、書かれているのだと思われます。

 

要は、滞納している区分所有者も、管理組合の制定した管理規約を承認して、管理規約にのっとって管理費等も支払っていたんですよね。だから、それに違反して滞納したなんだから、それを回収するために弁護士費用をかけても支払ってくださいという意味であります。

 

裁判をしてみないと分からない

で、訴訟の内容が仮に、管理費等の滞納金額が300,000円として、弁護士費用が300,000円として、合計600,000円の訴訟を起こした場合どうなるか。(大体、そのような訴訟を弁護士が受けてくれるかという問題でありますが、ここでは考えないことにします。)

 

まあ、この訴訟の裁判の裁判長は、おそらく、滞納者が管理費等を支払わないのは、まったくもって遺憾なので、即刻か、延払いでもいいから払いなさいとなると思います。しかしながら、300,000円回収するのに300,000円かけるのですか?と、たしかに、弁護士費用は請求されても認めるということになっているから、それも同時に支払えと判決を下す裁判長が多いとは思うが、盗人にも三部の利があるわけで、あまりにもひどい弁護士費用は、管理組合にも負担させるということにもなりかねないのであります。(これはあくまで野澤の仮説で仮定の話です。実際の話ではありません。)

 

管理費等の滞納は、金銭債務不履行ではあるから、「弁護士費用を支払え」という規約に無理があるかもしれない。なので、国交省の考え方も「請求しないことに合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。」となっていて、極端な場合は厳しいねと読めないこともないのであります。

 

ということで、訴訟は起こすのですが、その費用に関しては、湯水のように費用をかけても、すべて滞納者が負担するから大丈夫と考えて請求を起こすことは、極力避けなければならないと思われるのであります。

 

まあ、訴訟に関しては高度に専門的でありますので、お気軽にお問合わせください。Zoomで対応いたします。

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