【マンション管理費 滞納2】無剰余主義の排除

無剰余による取消

滞納者に資力がなく、管理費等を滞納している場合、管理費等だけでなく住宅ローンの支払も停止している場合もあります。このような場合、いずれ抵当権者が抵当権に基づいて不動産の競売を申立てます。

 

すると、新たな区分所有者が現れます。そうなれば、滞納管理費等は特定承継人である新区分所有者から回収することができます。(区分所有法第8条)

管理組合は新区分所有者が現れるまで静観して待っていればいいということになります。

 

これに対して、管理費等を滞納しながらも、抵当権のついた住宅ローンの支払だけは続けている場合があります。この場合には、抵当権者は不動産競売を申し立てません。そうなると、管理組合は先取特権に基づいて、あるいは、判決に基づいて競売を申し立てることになります。

 

しかしながら、その申し立てをしても当該マンションの価値以上の住宅ローンが残存していれば(「オーバーローン」という)競売手続きは取り消されてしまいます。これが、無剰余による取消区分所有権の競売の請求制度です。(民事訴訟法63条2項)

 

その結果、管理組合は、長期滞納者が平然と住み続けているのを手をこまねいてみているしかないことになります。

 

区分所有権の競売の請求

そこで、管理組合は、区分所有法第59条「区分所有権の競売の請求」により所定の競売請求をして、滞納者を強制的に排除することができないものかと考えるようになりました。競売により新区分所有者が現れれば、特定承継人に対して請求できるからです。

 

このような中、東京高決平成16年5月20日(判夕1210号170ページ)は、区分所有法第59条「区分所有権の競売の請求」に基づく競売請求においては、無剰余による取消制度は適用されないことを明確にしました。

 

これにより、区分所有法第59条競売申立はオーバーローン状態でも競売申立ができるようになり、長期滞納者を排除することが可能になりました。これは、有力な滞納対策になることになりました。

 

その後も、区分所有法第59条「区分所有権の競売の請求」に基づく競売請求について、いくつかの判決が出ています。

 

東京地裁が平成17年5月に、管理費等の滞納が多額になることは共同の利益に半数ことを認めたうえで、区分所有法第59条1項の所定の要件を充たすものであるとして、競売請求を認めたもの。

 

東京地裁平成19年11月に、滞納管理費等の額がマンション全体の管理費等の総額に占めるウェイトが高くマンション管理に支障をきたしていること、抵当権等の担保権や公租公課があって滞納者の財産から回収することが困難であり、区分所有法第59条に基づき競売請求のほかに手段がないこと等事実を認定して、競売請求を認めたという判例もあります。

 

いずれも、地方裁判所レベルですが、区分所有法第59条に基づく競売請求を否定はされていないということです。ただ、一概にすべて大丈夫というわけではありません。いくつもの条件をクリアして可能となったことは事実ですが、否定されなかったことは、大きな事実として活用も視野に入れていいものと思われます。

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