【マンション管理費 滞納3 禁じ手】電気・ガス・水道の供給停止措置

電気・ガス・水道の供給停止措置は禁じ手です

滞納管理費等を回収する為、 管理組合として回収する方法はいくつかあると思いますが、 管理組合としてやりすぎについて考えてみたいと思います。

 

滞納管理費等の回収のため、区分所有者の専有部分の電気・ガス・水道の供給停止措置を行おうとする場合は、管理組合が一括契約して子メーターでそれぞれ使用量に応じて各住戸に請求する場合に物理的に可能な措置となります。

 

組合員が直接供給業者と契約している場合には、管理組合は第三者の立場になり、そもそも供給を停止する資格はありません。

 

しかし、物理的に可能であったとしても、金銭問題に過ぎない滞納管理費等の回収のために、電気・ガス・水道の供給を停止して必要不可欠な生活手段を奪うことは、管理組合側の不法行為と評価される恐れがあります。

 

電気・ガス・水道そのものではありませんが、給湯の供給停止が問題になった事案があります。

 

給湯停止の措置は、管理規約に基づくもので、あらかじめ管理費等の支払いを督促し、給湯停止措置に出ることを警告した上で、約5ヶ月間停止したところ、滞納者から損害賠償請求されたというものです。

 

これについて、東京地裁判決平成2年1月30日(判時1370 号83ページ)は、給湯という日常生活に不可欠なサービスを止めるのは 、管理費等の滞納問題の解決について他の方法を取ることが著しく困難であるか、実際上効果がないような場合に限って認められる。

 

本件の場合は、比較的容易に他の方法を取ることができたのに、これを取らず給湯停止に及んだことは適切さを書いたもので、あらかじめ支払いを督促し、給湯停止措置に出ることを警告したとしても、権利濫用にあたり不法行為を構成するとして、慰謝料30万円の支払いを認めました。

 

電気・ガス・水道の供給停止であれば、給湯の供給停止に比べ居住者の日常生活に一層重大な影響を与えることから、管理組合にとってより厳しい判決になるはずです。

 

ちなみに福岡地方裁判所平成9年5月7日は、水道元栓のバルブを閉めた上、そのバルブに粘着テープを貼り付け要員開くことができないようにした理事長の行為について、理事長だけでなく管理組合の賠償責任を認めています。

 

したがって、滞納管理費等の回収のために、電気ガス水道の供給を停止して必要不可欠な生活手段を奪うことは行き過ぎになり、選択肢としては除外すべきでしょう。

 

まあ常識的に考えれば、すぐにわかるように思いますが、どうしても人間は行き過ぎてしまうことがあるので、管理費の滞納が腹立たしいのは分かりますが、常識的に考えて、慎重に行動しましょう。

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