【マンション管理費 滞納2】仮差押・仮処分
少し法律的に難しい話が続いていますが、もうしばらくお付き合いください。
仮差押・仮処分とは
「仮差押・仮処分」という言葉は聞いたことがあると思いますが、よく分からないという人が多いと思います。簡単に説明すると、債権者の権利を暫定的に保護し、債務者の財産又は権利関係を確保することを目的とした手続きです。
請求に応じない債務者に対しては、最終的に訴訟を提起することになります。ただ、訴状起こし、勝訴すれば、解決かと言うと必ずしもそうではありません。訴えの提起から勝訴判決を得るまでには、一般にかなりの時間がかかります。その間に起きてくるのが債務者の財産隠しです。場合によっては、こちらが訴訟を起こす前から、すでに財産隠しに着手しているという場合もあります。
「どうせ取られるなら」 と債務者に財産を処分されてしまうと、せっかく訴訟起こして、勝訴しても、財産のない債務者からは何も取れません。このことは強制執行をしても変わりません。
強制執行して取り上げるだけの財産が債務者にないということになれば、多くの時間や費用をかけて、やっと手に入れた勝訴判決でも無駄になってしまいます。
そうならないようにするために、予め、債務者の財産隠しを封じる手段として、仮差押・仮処分があります。
つまり、仮差押・仮処分をすると、債務者は財産を処分したとしても、そのことを債務者に主張することができなくなります。
以上が「仮差押・仮処分」 に関する簡単な説明ですが、管理組合の場合、この仮差押・仮処分を行うことはあまり考えられない。なぜなら、管理組合としては、管理費等を滞納している区分所有者は、明確にアンションの専有部分を所有していることが明確であるため、その専有部分を処分してしまうということは、マンション管理組合の管理から考えて基本的に難しいと考えられるから、わざわざ仮差押・仮処分を行うことは、あまり意味がないことになります。
その手間暇を考えるならば、より直接的な法的処置を実行するほうが 、賢明な方法と考えられるからです。
そんなわけで、「仮差押・仮処分」は、知識として覚えておいていただければそれだけで結構です。