【マンション管理費 滞納2】支払督促
裁判を行わないで判決が得られるかも
少額訴訟は、訴訟の簡略版であったわけですが、もう一つ、簡略な方法として、支払督促という方法があります。
支払督促とは、貸金、立替金、賃金などを相手方が支払わない場合に、申立人の申立てのみに基づいて裁判所の書記官が行う略式の手続です。
つまり、申立人(管理組合)は、滞納者(区分所有者)に対して、管理費等の未収金という債権を持っているので、それを裁判所書記官に提示すれば、書類審査だけで、相手方(滞納者)に対して支払督促を行うことができるということです。
相手方(滞納者)は、支払督促の通知を受けてから、2週間以内に異議を申し立てて訴訟手続をしないと、支払督促そのままの内容を認めたこととなります。
そして、申立人(管理組合)は、相手方が異議申し立てをしなかった場合、支払督促受領日から2週間目の最終日の翌日から30日以内に仮執行宣言申立書の提出を行うことができるようになります。
相手方(滞納者)が、この仮執行宣言付支払督促を受領後も異議の申し立てをしないでいると。申立人(管理組合)は仮執行宣言を獲得することができるということになります。
この支払督促は、少々複雑のように思えるかもしれませんが、貸金等の金銭債務がはっきりとしている場合であれば、裁判の判決と、その後の仮執行も同時に行ってしまうという優れモノなのであります。
(相手側が、仮執行宣言に従わない場合は、別途、裁判所に強制執行の申立てができます。)
もちろん、相手方(滞納者)にも、2回の異議申し立てができるチャンスがあるので、そこで、異議申し立てをすれば、訴訟手続きに持ち込むこともできます。なので、申立人(管理組合)側も、相手方(滞納者)が訴訟をしてくるとの覚悟をする必要はあります。
金額の制限はない。ただし、被告の簡易裁判所で
この支払督促の優れている点は、金額はいくらでも構わないということです。しかも、いくらであっても、簡易裁判所に申し立てればいいということです。しかも、申立は、書類審査のみなのです。
ただし、問題点としては、相手方(滞納者)の所在地の簡易裁判所に申し立てをしないといけない点です。相手方(滞納者)の区分所有者が、遠方に住んでいる場合には、その地方の簡易裁判所に提出となります。すると、異議申し立てとなり、訴訟となるときは、その簡易裁判所か、地方裁判所(訴額140万円超)での裁判となります。
(例えば、マンションの所在地が東京で、区分所有者の住所が札幌となると、申し立てる簡易裁判所は札幌簡易裁判所になるということです。)
なので、相手方(滞納者)の住所は一つのポイントですが、その点を除けば、扱いやすい制度だと思います。
少々、複雑になりますが、詳しくはOfficenozaにご相談ください。相談は無料です。Zoomで面談いたしますので、全国どちらでもOKです。