【マンション管理費、滞納】督促の方法。自分でできる法的手段。お勧め3選。
自分でできる法的手段
前回のブログでは、裁判は、弁護士に依頼しなくても自分でできるとお話ししました。そこで、今回は、その手段を書いていきたいと思います。
基本的には、3種類の方法があります。それぞれにいい点と注意点があります。
少額訴訟
まず、一番最初は、「少額訴訟」であります。この訴訟の特徴は、一度の審理で結審してしまうということです。つまり、その場で終了ということです。はやいです。なので、その場にいないと出廷したことになりません。
ただし、訴額が60万円以下のものでないと受け付けてもらえません。しかも、同一原告は年間10回までとなっています。まあ、10回の制限は、管理組合の場合は問題ないでしょうが、60万円は、意外に低いかもしれませんね。管理費+修繕積立金+使用料(駐車場代等)だと、月々の支払金額は結構大きくなるので、あっという間に60万円を超えてしまうことがあります。なので、早めに決断することが大切です。
それに、審理の日は選べないので、その日に関係各位が集まれるかも問題です。まあ、万難を排して臨むことをお勧めします。
支払督促
これは、ひょっとすると、裁判をやらなくても、強制執行までやれるようになるかもしれない超お勧めの法的手段です。なにもなければ、申立を受け付けてもらってから、4週間で終わります。あとは、仮執行宣言を片手に、「払え、さもないと強制執行するぞ」ということができるようになります。
ただし、いいところばかりではありません。被告(滞納者)は、勝手に送られてきた裁判所からの通知に反応して、訴訟に持ち込むことが当然できます。そうなれば、通常の訴訟に移行されます。また、大きな問題は、支払督促で申立をするときは、必ず、相手方の住まいを管轄する簡易裁判所に対して行います。
つまり、マンションの住人が被告であれば、管理組合と同一の管轄となりますが、そうでない場合(区分所有者が遠隔地に住んでいる場合)は、その簡易裁判所に申立することになります。なので、区分所有者が遠隔地に住んでいる場合は、そこに申立しないといけないのがネックになる場合があります。むろん、通常訴訟になれば、その簡易裁判所で行われることになります。また、140万円超は、地方裁判所になりますので、訴訟が継続できるかも申立時点の注意事項になります。
民事調停
これは、訴訟と違って、お互いに話し合いで解決しようということです。書類関係はほとんど同じですが、やり方が裁判とは全然違います。
お互いの主張を言い合うのですが、言う相手は、当事者ではなく調停委員です。現実的には、調停委員からいろいろ条件を出されて、それを飲むのかどうかを迫られるのが実態だと思います。そして、原告の受け入れられる条件と、被告の受け入れられる条件とをすり合わせて、一致点を見つけて、合意書を作成していくように進行していきます。
なので、裁判と違って、原告の一方的な勝利とはならないこともあります。ただし、現実的で、解決可能な策ができることも多いと思います。
ただし、お互いが受け入れられないときは、そのまま通常の訴訟に移行します。
ここでは、話ませんでしたが、通常訴訟をする場合でも、弁護士に依頼するときは、いきなり訴訟ではなく、民事調停から入る場合が多いと思います。なぜかというと、裁判では、判決がどうしてもYESかNOになってしまいがちです。それで、そののち強制執行で問題が解決すればいいですが、そうではない場合も多いと思います。なので、結局話し合いの場が必要ということなのであります。
以上簡単に、3つの方法を見てきましたが、どれを選択するかは、その状況によりますので、ご相談ください。